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ミュウミュウスタッズリボン編集

 村長はそう言い、 「拓一君、復興の同志がふえたねえ」  と、座に加わった。 「はい、村長さん。同志がふえました。利かない青ですよ」  拓一もうれしそうだ。ていや弥生が、楽しそうに、廊下でけんけん飛びをしている。耕作はふっと、死んだ祖父母や良子を思い出した。 三  耕作は、山の上の石に腰をおろして、あたりを見まわしていた。うらうらとした空だ。すぐ傍《かたわ》らに、熊笹がそよ風になびいている。その熊笹が、時折いっせいに動く。動く度にきらきらと光って、出刃庖丁のようだ。  熊笹の向こうに、子供たちの遊び声がしている。が、姿が見えない。耕作は立ち上がって、熊笹の向こうを見た。平らなグラウンドで、生徒たちが輪っぱまわしをして遊んでいる。一人一人太い針金の輪をころがして遊んでいるのだ。直径五十センチほどの輪だ。それを、先のほうをUの字に横に折り曲げた針金の柄で、押しころがしていくのだ。その針金の輪も日に光る。 (眩しいなあ)  耕作は目を細めた。光が山にあふれているようなのだ。走っている生徒たちの中に、権太がいた。権太が先頭を切って走っている。 「楽しいわねえ」  うしろで、不意にやさしい声がした。耕作はふり返ろうと思った。が、なぜかふり返ることができなかった。ふり返らなくても、今の声はわかったような気がした。 (福子だ!)  そう思った。と、 「楽しいわねえ」  また声がした。
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